「生産性向上」の目的と取組事例を徹底解説します!

[記事公開日]2017/10/04
[最終更新日]2018/01/18

生産性向上とは

「うちの会社の社員はみんな真面目なのに、どうして利益が出ないんだろう・・・」と悩まれてる経営者の方は多いのではないでしょうか。

会社を維持発展させるためには「生産性向上」がポイントになります。

「生産性向上って作業を効率化することですよね?」と言われることが多いのですが、実は生産性向上とは単に作業を効率化するということではありません。

「生産性向上とはどういったことなのか」「生産性向上の目的」「生産性向上の取り組み方」など、生産性向上に関してわかりやすくご説明したいと思います。

※「働き方改革」に関しては『働き方改革とは|「働き方改革」のポイントを徹底解説します!』のページで詳しくご説明していますのでご参照下さい。

 

「効率化」とは

生産性向上を理解する前に、まずは効率化とはどのような事なのかを理解する必要があります。

例えば、購買部門の担当者の仕事で10時間かかる作業があるとします。

システムを導入したり、購買工程を簡素化したりすることで、仕事の結果は同じままで作業時間を6時間で出来るようにしたとします。

これは「効率化」です。

作業の質を落とさずに、短い時間で同じ結果が出せるようにすることを「効率化」と言います。

 

「生産性向上」とは

それでは、「生産性向上」とはどういったことを言うのでしょうか。

生産性向上とは、効率化によって生み出された時間を使って新たな価値を作り出すことです。

例えば、先程の例でお話しました「10時間の作業を6時間に効率化」した場合を考えてみましょう。

作業時間が10時間から6時間になったということは、新しく作業ができる時間が4時間出来たということになります。

この効率化によって出来た4時間を使って、新たな価値を生み出すことが「生産性向上」です。

効率化は単に時間を短縮するだけですから、新たな価値は生み出しません。

 

生産性向上の目的

つまり、効率化をするだけでは維持発展できないのです。

効率化は新たな価値を生み出すための「時間」を作り出す作業です。

効率化によって作られた「時間」を有効に活用して、新たな「価値」を生み出すことが「生産性向上」の目的なのです。

 

生産性向上のために必要なもの

「すぐにでも生産性向上に向けて取り組みたい!」と思われるかもしれませんが、生産性向上をするためには必要なものがあります。

これらがなければ、表面だけの活動になり、結果に結びつかずに終わってしまう可能性があります。

それでは、生産性向上のためにはどういったものが必要なのかを一つ一つ見てみましょう。

 

経営理念

経営理念

生産性向上のためには「経営理念」を明確にする必要があります。

「経営理念が大事とよく聞くけど、経営理念って何?」と思われている経営者の方も意外に多いかもしれません。

経営理念とは、経営者が会社の活動を通じて実現させようとしている信念や使命のことをさします。

「会社の存在価値」といっても良いかもしれません。

会社が何を目指して活動しているのかを理解するために、社員全員が経営理念をはっきり理解しておく必要があります。

生産性向上も働き方改革も「経営理念」が全てのスタートになります。

 

ビジョン

ビジョン

ビジョンとは、経営理念を実現するための10年から20年先の会社の具体的な姿です。

経営理念は概念ですから、それを実現させるためにはどのような企業になればよいのかという具体的な理想の姿を決める必要があります。

 

方針

方針

ビジョンを達成するために、次に「方針」を決めます。

方針とは1年~3年単位の目標です。

先程の10時間かかっている作業を6時間に短縮して効率化をしたという例を使ってご説明します。

ビジョンを達成するには、新たな付加価値を生み出す作業(4時間)をしなければいけないと分かったとします。

現状の業務の流れを整理して、自社の強みや弱点などを把握した結果、10時間かかっている作業を6時間に短縮することで、付加価値を生む作業のための4時間を作り出す必要があると判断しました。

これが「方針」です。

ビジョンを実現するために業務や経営環境の分析を行い、何が必要なのかを決めることが「方針」を決めるということになります。

 

生産性向上のためのアクションプラン

アクションプラン方針が決まったところで、「10時間かかっている作業を6時間にすること」と「新たな価値を生み出す4時間の作業を始める」ためのアクションプランを決めます。

現在おこなっている事業を「従来業務」、今後新たに取り組む事業のことを「チャレンジ業務」と呼びます。

従来業務とチャレンジ業務の両方のアクションプランを決めます。

 

生産性向上の取組事例

それでは、どのように生産向上に取り組むのかを事例でご説明したいと思います。

当事務所では以下のようなモデルケースを使って生産性向上に取り組む勉強会をおこなっております。

 

うなぎ屋『大井』の経営改善プラン(ケーススタディー)

ケーススタディーとして、以下のような情報を基に生産性向上のために何をどのように進めていけばいいのかを考えます。

 

<情報1>

生産性向上取組事例うなぎ屋『大井』は、東京都品川区に位置する創業200年の店。

店主は7代目。

秘伝のタレを代々受け継ぎ、品川界隈で「一、二の美味しい店」との評判である。

6代目のご隠居さんは経営から一切手を引いて悠々自適の生活をしている。

場所柄、昔からのなじみの客やサラリーマンが多く、売上は昼が70%、夜が30%。店内は座席が30席あり、出前は創業当時からおこなっていない。

昼間のメニューは、うな重、うな丼と焼き魚定食のみ。

おかみさんの提案で始めたお昼限定の焼き魚定食は結構人気がある。

店には昼の12:00から12:30にお客が集中し、ほぼ毎日満席の状況であり、昼だけでも軽く120食は出ていた。

ところが、ここ3ヶ月客足が目に見えて落ちてきている。

昼の売上は3ヶ月前に比べて30%もダウンしてしまった。

何が原因なのか、店主自身にもわからずに頭を抱えている。

そこでご隠居さんが関係者を集めて、関係者に「うなぎ屋大井の経営改善プラン」を作ってもらうことになった。

なお、ご隠居さんは話し合いには参加しない。

関係者は話し合いの結果をご隠居さんに報告し、ご隠居さんに改善プランを実行するか否かの判断をしてもらう。

 

<情報2>

①うなぎ屋『大井』近辺に最近開店した飲食店はない

②うなぎは鮮度と美味さで評判の浜松の問屋から仕入れている(仕入れ先はこの50年間変わっていない。品質は安定している。店主は問屋との長年のつきあいで良質のうなぎを安価で仕入れている。)
③魚の仕入れは築地。品質と仕入値は安定している。

④うなぎの売上は通常毎年10月から5月は横ばい。6月から9月にかけてピークを迎える。現在は2月。

秘伝のタレは店主の勘で調合している。

⑥閉店後毎日うなぎを焼く機材一式を磨いている。機材は毎日万全の体制だが、もう30年間使い続けている。網は定期的にかっぱ橋で購入している。

⑦炭は紀州備長炭を使用。しかし、最近は仕入値が上昇している。

⑧店内は30年前に改装して以来、老朽化が進んでいる。しかし、独特の老舗の雰囲気を醸し出している。

どんぶり等は定期的に新しいものに替えている。

⑩3ヶ月前の昼の注文120食分の内訳は、うな重:うな丼:焼き魚=1:1:1。

うな重(2000円)、うな丼(1500円):焼き魚(1000円)の注文がそれぞれ30%ダウン。全体の売上も30%ダウンした。

 

<登場人物>

【店主】  

30歳でこの店を継ぎ、以来うなぎひと筋の職人肌。

仕事に厳しく、2年ほどいたベテランの板前さんはつい4ヶ月前に喧嘩をして辞めてしまった。

店内や厨房の改装など大きな投資が必要な場合は、ご隠居の了解を得ることになっている。

 

【おかみさん】

定食の魚を焼くのとレジが仕事。

ただ、焼き魚定食の注文が結構多く、なかなか厨房から出られない。

焼き魚定食の評判が良いことに自負を持っている。

 

【五郎さん】

うなぎ屋修業中で、ご飯、お吸い物、味噌汁の担当。

昼時は特に雑用が多く、パートの春江さんから受けた注文の取りまとめから皿洗いまで1人でやっている。

カウンターと洗い場の間を走り回っている。

 

【春江さん】

パートとして3ヶ月前に入ったばかりで、まだ仕事の要領を良く覚えていない。

勤務時間は11:00から16:00で、仕事は注文を取ってお茶や料理を出し、食べ終わった後の食器を片づけること。

しかし、実際にはおかみさんが厨房から離れられないため、レジをやったり、

また注文を取っても五郎さんがカウンターにいなくて注文票を渡せずに右往左往することも多い。

 

【望月さん】

20年来のお得意であるが、最近ちょっと変化を感じている。

接客に対する不満である。

注文を取りに来るのが遅れたり、お茶が出なかったり、またレジに誰もいなかったりすることも多いと感じている。

頼んだものが出てくるのも遅いような気がしている。

 

うなぎ屋『大井』の経営改善

上のモデルケースに対して、下記のような問題点、ゴールを設定します。

 

問題点   

ここ3ヶ月間、客足が落ちている

昼の売上30%ダウン

 

ゴール

1ヶ月以内に3ヶ月前の売上高に戻す

 

その他

昼の改善をテーマとする。夜はテーマ外とする

 

生産性向上の取り組み方

それでは、ケーススタディーを基に、どのように生産性向上に取り組むのかの一例をご紹介したいと思います。

 

事象

まずは現実におこっている事象を整理します。

この例で言いますと「売上が30%ダウンした」「4ヶ月前に働いていた板前が辞めた」などという事実が「事象」になります。

できるだけたくさんの事象を挙げて整理していきます。

 

原因

原因次に問題点となっている「昼の売上が30%ダウン」した要因を洗い出します。

会社の活動は「買う」「作る」「売る」「考える」「支える」の5項目から成り立っています。

この5項目それぞれの活動のどこに原因があるのかを考え出します。

例えば、「板前が辞めた」という事象によって「味の低下」という原因があるのではないかという仮説をたてたとします。

「味の低下」は5つの項目の中の「作る」という工程に関わる原因として振り分けます。

出来るだけ多くの「原因」考え出すことが生産性向上のポイントになります。

 

課題化

考えられる原因を挙げた後は、その原因を取り除き、不具合となる事象を解消するためには何をすればよいのかを考えます。

これを「課題化」と言います。

例えば、先程の「味の低下」という原因を取り除くためには「板前の採用」「調理方法の見直し」などが考えられます。

もし「板前の採用」が重要な課題であれば、春江さんをパートで雇うのではなく、板前さんを雇わなければ課題は解決しないということになります。

このように課題を一つ一つ整理をすることで、今やっていることが経営改善のための作業になっているのかの判断がしやすくなるともいえます。

 

方策

方策課題の「緊急度」と「重要度」を基準に、それぞれの課題を整理します。

緊急度と重要度がもっとも高いと思われる課題に対しての方策を立てます。

方策は、誰が、何を、どのように、いつからいつまでに行うかを決めて、具体的に検証が出来るようなかたちにすることが重要になります。

例えば「調理方法の見直し」という課題があったとします。

「調理方法の見直し」という課題に対しての方策の一例としては、以下のような方策が考えられます。

  • 「店主」が「5月20日から31日まで」の間に「調理方法の見直し」をする。
  • 「おかみさん」が「6月1日から3日までの3日間」で「味に関するクレーム件数の集計」「味に関するクレーム内容の分析」を行う。

 

検証

検証方策を実施した後は、進捗状況の確認や効果の検証をおこなわなければいけません。

未達成の項目がある場合は、次なる方策を立てる必要があります。

先程の例で言いますと、味に関するクレームが減って売上が回復していけば「調理方法の見直し」によって改善が出来たことになります。

もしクレームが減っても売上が10%程度しか回復しなかったという場合は、新たに他の原因を考えて、課題化、方策、検証をおこないます。

 

まとめ

最近、「働き方改革」という言葉を耳にされる機会が増えました。

働き方改革の本当の意義は、単に残業を削減することでもなく、休暇を増やすことでもありません。

一人一人が自らの働き方について考える機会を作り、主体的になって仕事の幅を広げること、やれることを増やすこと、そして最終的な到達点は新たな付加価値を生み出す力を身につけることなのです。

その為の生産性向上です。

生産性向上とは時間当たりの効率を上げることではなく、効率を上げた上で自身の仕事にゆとりを作り、そのゆとりができた時間を用いて新たなチャレンジ業務に取り組む時間を増やすことだと考えています。

 

愚直会に参加してみませんか?

「生産性向上の取り組み方は分かったけれど、自分の会社で出来る自信がない・・・」と思われた経営者の方は、愚直会で一緒に勉強してみませんか?

愚直会では「経営計画」「人材育成」「目標管理」の3部構成で、実際に自社のシナリオを作り、即実践に取りかかれるように配慮しながら進めてまいります。

愚直会
「経営計画を愚直に実践する会(愚直会)」のご案内

 

お電話でのお問い合わせ

電話番号

スマホの方は上のバナーをタップして下さい。

 

ホームページからのお問い合わせ

会社名 (必須)
お名前 (必須)
メールアドレス (必須)
お問い合わせ件名
(必須)
経営計画を愚直に実践する会についてリーダーシップ研修についてその他のお問い合わせ
お問い合わせ内容
(必須)
上記の内容にお間違いがなければ、チェックを入れ送信してください。